のぶ子、お出かけを楽しみにする

昨日、のぶ子の腫瘍の検査結果が知らされた。

「悪性腫瘍」
だそうだ。

「悪性」というのはがんセンターでも言われてたから分かってた。

それに、急激にあんなに大きくなる腫瘍がおりこうさんであるとは考えにくい。

いや、ひょっとして良性でも急成長する腫瘍があるのかもしれないが、
私の狭い知識の中ではそんな腫瘍とすれちがったことはない。

2週間はかからずに結果が出たか。
そして、以前お世話になってた病院で治療が始まるらしい。

昨日父から来たメールには、
「手術」とあった。

***********(頭の中)

あんなにでっかい腫瘍を手術で取り除くとなると、
のぶ子の脚はかなりえぐれてしまうことになる。

骨は?骨からしみ出してるって先生言ってたよね。
骨はどうする?骨はきらないでいく?

そしたら放射線治療?

重粒子線とか言われても高額すぎる。

今加入しているがん保険はかなり昔のものやから
イマドキの治療にはマッチしてない保障内容。

先進医療などはついておらぬはず。

前の病院に戻ると言うことは、
先進医療は受けないだろうし・・・。

***********(頭の中)



なんてことをひたすら考えて、
「なんで私、分からんことをこんなに考えてたんだろう?」
とハッとなった。


そんなとき、妹からLINEがきた。

「のぶ子から電話かかってきて検査結果聴きに行くから、
洋服や帽子やバスタオル持ってきてって、いろいろ言って電話切られた」


いや、病院には聞きにいかんよ。



がんセンターから、今入院中の病院の担当医に連絡してくれることになってたのだ。


最初は検査結果を聞きにもう一度来てもらう、ようなことを医師から言われた。

マスクをしてたけど、私が思いっきり
「えーっ!??」
って顔をしかめたのが分かったのだろう。

すぐに言い換えて、
「では、(入院中の)○○病院の先生に連絡して伝えてもらいましょうか」
ってことになった。


同席してた息子にあとで聞くと、
あの場にいたみんなの空気が
「えーっ!??」
とイヤそうな感じになってたって笑ってた。

そうだよ。遠いんだよ、あそこ。

入院中の病院から連れて出るのにどんなに家族が大変な準備をして手配して連れてったか。

入院するのならまだしも、
検査結果聞きに行くだけで病院と家族総出で大変なことになるのは勘弁してほしいのだが。


のぶ子自身は、「また病院にいく」=「おでかけできる」と喜んでいたようだった。

まぁ、1ヶ月も入院してたら退屈だろう。
同じ景色ばかりで、周りも似たような年齢のご婦人方ばかり。

食べることが人生の楽しみだと思っているのぶ子にとっては
入院生活は苦痛で仕方ないのだろう。


父からメールをもらってすぐに電話したら、
「あいつはホンマ病気やけがばっかりして」って言ってた。

この言葉だけ聞いてると、
どれだけ身体の弱いはかない奥様なのかと思われるかもしれないけれど、
まったくそういう人ではない。

「はかなさ」
「かよわさ」
とは無縁で、
「ブルドーザー」
のように突き進む
「生命力」
にあふれてる人なのだ。



スゴくいい言葉で言えば、
「ひまわりのような」人かもしれない。

私が子どもの頃、いつもパーマのローラーを巻いてて、
(昔のドラマでもお母さん役の人がやってた)
クリンクリンの髪の毛をしてたのが、
サザエさんみたいというか、さくらももこさんの「コジコジ」というか。

あのころ流行ヘアスタイルだった、例の前髪もクリンクリンの顔全開の髪型だ。

夏に咲くひまわりみたいといえば聞こえがいいね。

私が小学生ぐらいの頃か、ひまわりの花が枯れたあと、
その種を取り出して新聞紙の上に集めていった。

枯れた黄色の花びらがチリチリとなって、それをのぶ子がむしり取ってるのが
なぜだか子どもながらに「がめつい」感じがした。

種もすべてむしりとって、食べてた。
私も食べた。
食べるのが当然だと教えられた。

そういえば、ツツジの蜜を吸うのものぶ子に教えてもらった。
サルビアのも。

公園に生えてた緑の木(背の小さい緑の茎)の茎をポキッと折って、
皮むいて食べたらすっぱかったとか。

野草が食べられるのはのぶ子から聞いた。

出かけた先の道ばたで取ったヨモギでよもぎ餅作ったとか。

振り返ればのぶ子の思い出って、「食べること」ばかりだ。


食べられるってエネルギーに満ちているからいいんだけどね。

ひまわりの種も蒔いてまた咲かせるのもあったけど、
ほとんど食べてたような気がする。

それぐらい、はかなさとは無縁な人なのだ。


父にとってはいいようにフィルターがかかってるのかもしれないな。

これも長年連れ添った定めなのだろうか。



さて、今度ののぶ子のおでかけは、
がん治療のための転院になる。

ブラジャーをつけてもらって、洋服を着せてもらって、
家族総出で車椅子をおしてもらって外出するのを心待ちにしているのぶ子。


「悪性腫瘍」と言われても、あまり深く理解できない。

「生きるか死ぬか」の本能の部分で判断するだけ。
(これは昔から)

おでかけできるだけ希望があるということだね。

去年もステージ4の余命1年以内を宣告されてるもの。

動じないね、きっと。




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