のぶ子、「手術はイヤ!」と訴える

先日、のぶ子の脚の腫瘍を診てもらうために、
1日外出ってことでがんセンターに行ってきた。

朝4時半に起きて準備して行ったのだが、
それはそれは携わった皆が緊張で張り詰めてた。

ピンと張った糸に触らんようにしてる感じでもあった。
家族も病院の看護師さんたちも。

その中でひとり、お出かけ着にお着替えさせてもらってご機嫌なのぶ子。

ものものしい雰囲気の中、
のぶ子だけは軽い感じで陽気に介護タクシーに乗せられ、
父とともに一足先にがんセンターまで運ばれていった。

今回は妹が車を出してくれて、私たちは追走し、
のぶ子の病状や今後のことやら話ながら向かった。

11時予約で、10時半までに受付を済ませるようにと言われてたけど、
かなりの人で初診受付でさえかなり待たされた。

11時からなのにいいのかな?と思うぐらい、
ほぼ11時になったころに次の案内がなされ、
あらたな場所に受付したら、
またそこで問診を書かされた。

ここでもかなり時間を食った。

やっと中待合までやってきて、そこでも呼ばれる様子もなく。


「あんた、カバンの中にあめちゃん入ってないの?」

そう言いながら動く左手を出してくる。

その場にいたみんなに「何かないの?」を繰り返す様子を見てたら、
誰のために今日ここにいてるんやろうか?と不思議な気持ちになった。

後で聞くと、母をおとなしくさせるために妹が売店でアメを買ってきたらしい。

袋を父に開けさせてアメを口に含みながら
おしゃべりに花を咲かせてるようだった。

全然静かになってないよね。


そうこうしてるうちにやっと呼ばれて診察室に。

整形外科の先生が紹介状に入ってたデータや画像やらを見て診断を始めた。

「血液のガンの可能性が高いですね」
「悪性です」
「おそらく、悪性リンパ腫が再発したと思われます」

骨のがんかもしれないからと入院中の病院から送り出されたけど、
悪性リンパ腫?
また?

私がボーッと考えてる間に、
車椅子に座ったまま触診され、腫瘍の写真も撮られてるのぶ子。

「脚、こんな感じでいいですか?♪」と脚をピンと伸ばしてうれしそうだったのが
後ろから見てて笑いそうになった。

すると、急に立ちたい!と言いだした。
私と看護師さんとで手を借して立ち上がらせた。
ずっと座ってておしりが痛くなったのだと。

ベッドに腰掛けるって言うからベッドまで移動させて座らせたけど、
結局座ってたらお尻痛いんちゃうの?ってことになって、
「ベッドに横になった方がいい」
と、寝かせたら今度は、
「(落ちそうで)怖い!怖い!」と叫び出す。

確かに診察用のベッドって細いけど、
思いっきり寝返りうたない限り落ちないだろうに。

あまりに怖いを連発するので、壁際まで押しやったら安心して静かになった。


その後、またしばらく待合に出された。


待って待って待って・・・。
かなり待ち疲れたころにやっと呼ばれて再度診察室に。

すると、のぶ子は開口一番
「手術はイヤ!手術はイヤ!」
と叫びだした。

先生から、針で刺して検体を取るんですよと言われたら、
「針ならいい」とご機嫌が戻っていそいそとベッドに横になった。



さっき待合でかなり待つことになったとき、
今度は父が母を静かにさせるためにか、
母に腫瘍のことを話してたようだった。

父曰く、母の兄は肺がんで亡くなり、母の姉は脳出血で倒れた後がんで亡くなったそうだ。

母のすぐ上の姉が皮膚がんで今も生存中なのは知ってる。
だけど、他の兄姉のことは知らなかったようだ。

そして、自分の脚のできものも、「脚ごと切らないといけないかもしれない」と
父から言われて始めて知ったようだった。


いや、切らなあかんかどうかはまだわからんのやけど。
あくまでも骨のがんだったらって話。

何事にも短絡的で大げさだ。

検体を取って検査に出したら、2週間ぐらいで結果が出るらしい。

悪性リンパ腫の再発だったら、5月1日に寛解と言われて間もない再発。
急激に大きくなった腫瘍。

骨の髄液?がにじみ出てるようなことを言われた。
それが腫瘍になってる。できもの以外ににも脚の中をかなり占めている腫瘍。

「悪性です」

その言葉は、前にも聞いたからあまりショックもなく
悪性リンパ腫の再発ならよかったなと、なんだかホッとした気持ちもある。


触診されても、
「なぁ~んも痛くない」
「全然痛くないんです♪」
とうれしそうだった。

熱感あり。しこりは軟から硬。
医師の言葉が何を意味するのか分からない。

でも、がんセンターに行ってるってことはがんなんだってこと。

悪性リンパ腫じゃなかったらこの悪性のがんはなんなんだろうか?
そんなこと考えても、結果が出るのはまだ先だ。

治療はするだろう。
せっかく髪の毛がはえてきたのにね。
抗がん剤治療したらまた抜け落ちちゃう。


「あたし、そんなに長生きできへんよぉ」

そう言うけど、お見舞いに持って行ったナタデココ、
自分でペロリと平らげた。

動かない右腕でも、右手は動く。
右の手のひらにカップを乗せて、
左手にスプーンを持たせたら、
ハフハフしながら息もつかないぐらいの勢いで食べて、
家族をびっくりさせた。

「姉ちゃんが言ってることよく分かったわ」

私がいつも、のぶ子の生命力はスゴい!絶対長生きする!
って言ってるのがよく分かるってことらしい。

食べられるってことは、生きようとしてるってことだもの。
のぶ子は食に対する欲求が止まること知らずだらか。

手足もがれても食べ続ける

そんな感じの、いのちが光り輝いてる人なのだ。



さあ、2週間後。もしかしたらもう少し早いかもしれない。
結果次第。

今入院してるところは
「がん治療するために転院しても、最後は(最期じゃないよ)うちに戻ってきてもらうから」
と言ってくれてる。ありがたいこと。

リハビリ途中だものね。

でも、歩けるようになったとしても、家に戻ってこれるとも限らない。

父への負担をかけたくないとは思わない人だから
帰ってきたらまた父の腰が悪くなってしまう。

だけど、帰ってきてほしいと思うのは、父に元気でいてほしいから。
矛盾する私の気持ち。

のぶ子がいることで父の生きがいになるのなら帰ってきたらいいのだ。
30代ぐらいの筋肉と骨になって。
それなら許す。


そういえば、今日母から電話がかかってきて、
2階に部屋が変わったから荷物移動させに帰ってきてって。

準備万端なら行くだけで2時間。
今から行く準備大急ぎでして3時間はかかる。

往復6時間かけて、5分程度で終わりそうな荷物の移動をしに来いと言うのか。

ええ、そんな人です。のぶ子さん。


私がこんな母のもとに生まれたのは何か意味があるのだ。
神様からのお達しがあるのだ、きっと。

あの物言いは「毒」を注入された気分になる。

それを中和させる解毒剤を探せばいいのか、
自分が解毒剤になるのか。

それとも他の意味があるのか。

のぶ子からはまだまだ学ぶことが多い。


ホンマにねぇ・・・・・・。






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