のぶ子、負けん気を出す

のぶ子が手術してから約一ヶ月が経った。

右脚の付け根の骨を骨折したところに金属を入れてもらい、
しばらくは寝たきりだったのが、
歩行練習などのリハビリするようになった。

回復までにもっと時間がかかるかと思っていたが、
1ヶ月ほどで回復に向かっていってるのを知ってホッとした。

というか、退院したいならしっかり歩けるようになってくれないと困るけどね。


さて、私は先週末お見舞いと担当医に会う目的で実家に帰ってた。

病室のベッドの上には、相変わらず元気そうで、マイペースなのぶ子。

4人部屋の他の患者さんのお見舞い客が、
たこ焼きやらなにやらを持ってきてて、
自分には何を持ってきてもらえるやろうか。
もっといいもの持ってきてくれへんやろうかって
負けん気を出してたらしい。


見舞いに行くとたいてい、
「なんか食べるものある?」
と聞かれる。

お花なんて求められたことはない。
食べ物が一番ってこと。
相変わらず食欲は落ちてないんだ。

食べられるってことは生命活動をやめないってこと。

まあ、安心だけどね。

ベッド横の引出しを開けると、
やっぱり相変わらず食べ物でいっぱいだった。

ヨーグルトにヤクルト。
おせんべいにみかんにバナナ。
賞味期限切れてるのも平気で入ってるから持って帰った。

引出しの中はバナナのにおいでもいっぱいだった。

父は優しいから母のために食べ物をせっせと運んでやるのだが、
冷蔵庫もない病室でヨーグルトはいかがなものか。

土曜に行ったときは、スイカとキウイを小さめにカットして、
保冷剤でしっかり冷やして持って行ってやった。

果物をフォークにさしてやり、左手に持たすとバクバク食べる。
冷たいから口触りがいいのだろう。
うれしそうだった。
思いのほか、自分が他の患者さんのよりいいものをもらったと自慢したげだったし。

ほぼ1日ベッドの上にいるのにそんなに食べてもいいのだろうかと思うほど食欲は旺盛だ。

爪を切れとかいろいろ注文してくるのも元気に生きているって証拠だ。


ただ1つ心配なことがある。

今回担当医からよばれたのは、母の脚に大きなできものがあるのが分かったからだ。

リハビリの先生が脚のマッサージをしようとしたときに気付いたらしい。

右脚は術後の経過を看てもらってたし、
カラダをふいてもらったりシャワーにも入れてもらったりしてたのに、
左脚にできたそれは、リハビリするようになってはじめてわかったようだ。

それほど急に大きくなったってことだろう。

検査をしたら、骨が白っぽく写ってて、外にできてるできものと同じぐらいの大きさのできものが
脚の内部にあと2つほどあるとのこと。

断面図で見てもびっくりするぐらいに大きなもの。

専門の病院ですぐにでも看てもらった方がいいと言われた。
またガンなのか?

5月の頭には、「寛解です」と言われたところ。
腹部の悪性リンパ腫から骨転移してたのが治ったところだ。

PET検査の結果を見ても、全身からきれいにがん細胞がなくなってたから
別の腫瘍だろう。

腫瘍は膝頭よりも膝頭っぽくつややかにでっぱって光ってた。
触るとかなり熱を持ってる。

普段脚が冷たい人なのに、そこだけ別の何かがいるように温度が違うのだ。

のぶ子自身はそのできものが熱いのを感じていないし、痛くもないらしい。
感覚が鈍くなってるのか、本当に痛くないのか分からないが、
前日行った妹から送られてきた写真を見たときに「アカンやつ」かもしれないと私は思ってた。

実際にこの目で見たらもっと、アカンやつな気がした。

脚を切らないといけないかもしれないと(最悪の場合ね)言われて、
父はかなりショックを受け、眠れなかったらしい。

でも、のぶ子本人はまったく動じてなくて、
私ら家族は気が抜ける程だった。

それぐらいの方がいいのかもしれない。
頭を抱えて悩まれるぐらいなら。

入院中にもかかわらず緊急で来週専門の病院に連れて行くことになってる。

診察でどんなこと言われるか。
不安がよぎる。眠れなくはないけど、考えてしまう。

だからって、今から考えても仕方ない。

スイカをシャリシャリうれしそうに食べるのぶ子は、いろんなことが理解できない。
認知症じゃなかったときも理解できてなかった、というか、「考える」ことを受入れない。
つまり、のぶ子の世界には病気って言葉がないのだ。

しあわせな人だ、ホント。

しあわせのままでいられますように。
娘としてはそう願うしかない。





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