のぶ子、プライドはエベレストより高く

のぶ子は要支援2だ。
11月に出た結果に、「意外とそんなもんか」という感じだった。

だけど、日を追うごとに体調は変化する。

よくも悪くもなり、
気づけばまったく歩けないときもある。

家の中でも何度もこけて、家族を心配させるぐらいならいいのだ。

骨折して歩けなくなるのが一番厄介だもの。
今回は右腕のひじあたりをぶつけたか、自分の体重が一気にかかったかで
負傷している。骨折かヒビか。

歩く際、私が腕で支えたとき肘辺りがグラグラしてるような感覚だったから
早く病院に行ってほしいのだが、休み明けの今日は行かなかったらしい。
年明けで混んでるだろうからとのこと。

泌尿器科に薬をもらいに行かないといけないし、
整形外科で骨折かどうかも診てもらわないといけないし
のぶ子のおしもの世話もしないといけないしで
父は大忙しなのだ。

ただ、母のことをしているから頭がしっかりしてるのだと思う。

これをすべて私や妹がやってしまえば、
一気に物忘れが進んでしまうだろうから敢えて見守っている。

ふたりで生活をするなら、サポートはしつつも完全に変化させないようにしないといけない。
(これは医師から言われているから)



今朝妹が父に電話をした後、
のぶ子がベッドに上がるのが怖くて畳の上に布団を敷いて寝ているらしいと言ってきた。

ポータブルトイレがあるのに寝たままでおむつパンツでしてるらしいから
寝たきりになるんじゃないかと心配してた。

いやあ、お漏らししてもいいということではかせているんだから
間に合わなかったらそれでいいんじゃないかと私は思うのだが。どうだろうか。


詳細が分からないから、お昼休みに父に電話をしてみた。
のぶ子が父の手を煩わせてるということは伝わってきて、
腕を痛がっているということも分かった。

痛み止め飲ませてないなと思ったので、
メールに飲み方と飲む時間を丁寧に書いて送ったら、飲ませたんだろう。

夕方妹が父にまた電話したとき、
怖がってベッドに寝ないと言ってた母がベッドで寝てるみたいだと連絡してきた。

ベッドから降りるとき腕を打ったのか?
父も母も記憶が定かじゃないので腕を痛めた原因は不明だが、
のぶ子はようやく自分の「根城」に戻れた様子だった。


さて、のぶ子が三が日入院していた間に、
ショートステイを受入れている施設を父と一緒に訪問した。

お正月だったのであらかじめケアマネージャーさんに相談し、
いくつかピックアップしてもらって、
そのうちのケアマネさんがいる施設にアポ取りをしてもらっていた。

実際行ってみると、意外ときれいで新しい施設のようで、
規模が大きく、敷地も建物も広く、静かな場所にあった。

担当者の丁寧な説明を聞いたのと、
施設の一部を見ることができたことで安心し、
なんだか一歩前に進めたような気がした。

暗がりの中、どう進めばいいのか分からずにうろうろしている感じだったのが、
目の前の霧が徐々に晴れてきたような感じがしたのだ。


8月に父が急に入院することになり、
「お父さんが帰ってこない」と文句を言ってたのぶ子。

その後介護度は進み、
果たして放って入院なんてしてるどころじゃないだろうから
母をみてもらえるところを考えないといけなかった。

そこで、ショートステイで受入れしてもらえるようにしておかなくてはと思ったのだ。

ショートステイするにしても、特養に入ったりするにしても、
【介護保険負担限度額認定証】を発行してもらわないといけないらしい。

収入に応じて、負担限度額が決まるのだそうだ。

まずは、「取得できるかどうか」を確認するようにと教えてもらった。

電話で確認して、
(実家とうちとが離れてるので無駄足にならないようにとの配慮から)
取得できると言われたら「介護認定課」の窓口まで行く。

負担割合は4段階に分かれていて、
4段階目と1段階目とはかなりの負担額の差がある。

そんな証明書があるなんて知らなかったし、
聞いたことがなかった。

証明証がもらえてから、受入れ先の担当者と面談の上契約しておくのだそう。

実際に必要になったときに始めて知って、慌てることが多いと感じてた。

だから、知り得たことは、できることから取りかかってできてないことを消していこうと思う。

その日はついでにと、もう一軒予約なしで見学に行った。

父がよくお世話になっている総合病院の経営する介護施設でも
ショートステイの受入れをしていると聞いていたからだ。

こちらは病院が母体ということもあり、
何かあったときに隣接する病院で診てもらえる安心感があった。

そしてなにより、新しくてきれいな施設だった。
だからか先ほどの施設と比べると少し高額になる。

まずは証明証を取得することから始める。
そして、どこで契約するかを考えればいい。


ただ、のぶ子のエベレストよりも高いプライドが邪魔をしそうな気がする。

のぶ子としては、
「介護施設」にいる
「おじいさん、おばあさん」と一緒にしないでほしい!
ということなのだ。

自分はまだまだ若くてピチピチで元気なのに、
「年寄りと一緒にするな」という言い方をする。
でも、写真を見る限りのぶ子とそう年齢は変わらないようだ。

だから、家にいるのか介護施設を利用しているのかで区別するのはどうかと思う。

私としては、皆さん元気にレクリエーションができてるのだから
のぶ子よりもよく動いてらっしゃると思うのだ。

最近急激に足腰が立たなくなってひとりで歩けもせず、
トイレの心配もするようになった。

そのこともプライドが高いのぶ子にとっては屈辱なのだろう。

なによりも、抗がん剤治療の影響で脱毛していることが
人のいるところに出るのがイヤな原因の一位なんじゃないだろうか。


高い山の頂上から人を見下ろしてエラそぶるのが大好きな人が、
今はだれからもちやほやされない現実だと頭の端っこで感じてる。

「行きたくない」
「手すりなんて必要ない」
「いらん、いらん」

そんな言葉が出てくるのは、
雪で覆われたエベレストの斜面に斜めにスキー板ごとツッコんだようだから。


見られたくない
はずかしい
自分ならできるはずなのにできないなんて
私は人とは違ってスグレテイルのだから
今までだれもが「のぶちん」と可愛がってくれたのに
子どもたちには自分の言うこと(命令)はなんでもきかせられるのに
なんで思うようにならへんのか


そんな気持ちがあるのじゃなかろうか。


いっそ、できないって認めたらどんなに楽になるか。
「私はわたしのままでいい」

私自身はそれができるようになってきたから楽になった。


エベレストから下りるならじっくり慎重にすればいい。
油断して傾斜を真っ逆さまになるかならないようにするかは自分次第だもの。

プライドよりも大事なものって自分を解放してご機嫌さんでいること。

そしたら、しあわせだなと感じるさ。

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