のぶ子、自慢げなノータッチ

のぶ子がもうすぐ退院する。

相変わらず病人に見えないぐらい元気な様子だ。
そして、口が達者なのは永遠に変わらないだろうってことが容易に想像つく。

入院した当時に比るとて、さらにパワーアップしてる。
主治医も、おしゃべりの度合いで体調が分かるというから驚きだ。


さて、そろそろ入院費がいくらかかるか試算してもらおうと、
先日病院の会計担当さんに電話をしていろいろ相談した。

電話でも詳しい話を聞けたのだけど、
退院前にご家族に説明すると言われたので、
私が行けるときにとお願いして、今日時間を取ってもらった。

両親だけだと心許ないからだ。

電話で聞いた内容をまとめた紙をあらかじめ父に見せながら
担当者さんが来てくれるのを病室で待った。

お金のことだから、父にも理解してもらわないといけないから。

といっても、すぐに理解して、それを覚えていられるかどうかは別だけど。


今まで何度も足の骨折で入院を繰り返してきたのぶ子。

父にどれだけ迷惑をかけたことか計り知れない。
本人は至ってけろっとしたいるのだからなおやりきれない。

今回は「がん」という病気からだから仕方ないとはいえ、
治療費入院費がまたかかるのかと、父は心労が絶えない様子だ。

病室で説明している間も、暗い顔をして聞いていた。

ところがだ、のぶ子はベッドに腰掛けながら、
自分だけのけ者のようだと、説明してもらえないことに不服そうな顔をしていた。

(いや、説明してもいつも我関せずじゃないか)

そして、おもむろに、私が持っていた覚え書きのB5サイズの紙をむしり取り、
真面目な顔をしながらその内容に目を通し始めた。

(いや、絶対分かってないよな。)

30秒ほどだろうか、一生懸命に紙に目を落として深刻そうにしていたのは。

ハッと顔を上げたのぶ子の顔には、大きく「ハテナ」と書いてあった。


「お母さん、分からんのやろ。なんで分からんのに私から紙を取り上げるの?」


そう聞くと、
「読んでみたかってん」
と答える。

その行動が分からん。そして続けてこう言った。

「ノータッチや」って。まあ、それは自慢げに。

のぶ子はお金を払うわけじゃない。父がなにかと工面してきたのだ。

ただ、骨を折り、入院し、おしゃべりの度が過ぎてうるさいと怒鳴られ、
若いお兄さん理学療法士さんと仲良く過ごし、入院生活を満喫してから退院する。

入院はどこかへバカンスでも行ってるかのような楽しさで過ごす。
強者だよ、のぶ子は。

だから、会計の話にはトンと乗ってこない。

やっと担当さんが病室まで来て、別室で説明をしてくださることになったときも、
母はベッドでお留守番。

のぶ子は来なくてもいいし、のぶ子本人も「行っても分からん」とのこと。
「ノータッチ、ノータッチ」って。
ホンマに自由な人なのだ。


のぶ子は幸せだ。
父がいてくれるからこそだ。

気遣い、思いやりができないのぶ子。
できないまま、認知症にならないでよね。

今日、年を1歳さば読みしてた。
「わたしって、76歳よね」って。
暦票で調べてるから間違いない、77歳だ。

脳には情報を常にタッチダウンし続けてくれたまえよ。


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私は40歳になる直前ぐらいに右目の視力が急激に低下した。

今では視力の左右差がある上、老眼が入っているのでかなり見にくい。
おまけに、40代入ってから記憶力低下が気になってた。

視力と記憶力低下がつながってるとは初めて知った。

最近のぶ子のことでいろいろ忙しくしてるからもあるが、
父の記憶の定着がだんだん難しくなってきてるのを見ていると、
まだ若い私が記憶力低下なんて言ってられない!と思うのだ。

目の体操やマッサージをしたり、遠くを見るなど意識しても、
継続しない。もちろん、少しは効果があったかなと思うこともある。

目にも記憶にも効くサプリメントがあれば、
ホンマに「思い出の助け」になる。

そういえば、テレビ番組でもやってたっけ、
脳を鍛えると視力回復や老眼の回復にもいいとか。

一度試してみる価値はありそうだな。













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