のぶ子、自慢げなノータッチ
のぶ子がもうすぐ退院する。
相変わらず病人に見えないぐらい元気な様子だ。
そして、口が達者なのは永遠に変わらないだろうってことが容易に想像つく。
入院した当時に比るとて、さらにパワーアップしてる。
主治医も、おしゃべりの度合いで体調が分かるというから驚きだ。
さて、そろそろ入院費がいくらかかるか試算してもらおうと、
先日病院の会計担当さんに電話をしていろいろ相談した。
電話でも詳しい話を聞けたのだけど、
退院前にご家族に説明すると言われたので、
私が行けるときにとお願いして、今日時間を取ってもらった。
両親だけだと心許ないからだ。
電話で聞いた内容をまとめた紙をあらかじめ父に見せながら
担当者さんが来てくれるのを病室で待った。
お金のことだから、父にも理解してもらわないといけないから。
といっても、すぐに理解して、それを覚えていられるかどうかは別だけど。
今まで何度も足の骨折で入院を繰り返してきたのぶ子。
父にどれだけ迷惑をかけたことか計り知れない。
本人は至ってけろっとしたいるのだからなおやりきれない。
今回は「がん」という病気からだから仕方ないとはいえ、
治療費入院費がまたかかるのかと、父は心労が絶えない様子だ。
病室で説明している間も、暗い顔をして聞いていた。
ところがだ、のぶ子はベッドに腰掛けながら、
自分だけのけ者のようだと、説明してもらえないことに不服そうな顔をしていた。
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