のぶ子、ひとりほくそ笑む

のぶ子は短気だ。 なんでも自分の思い通りにならないとキレる。 キレるポイントが私らにはよく分からない。 どのスイッチで爆発するのかが。 私が小学高学年か中学1年生ぐらいの頃のこと。 ある夏の日、新製品がやたらに好きな父が、 ステレオを買ってきた。 黒くて大きくて、スピーカーも大きなやつ。 マイクを使えば、声が録音できる、 今でこそボイスレコーダーがスマホのアプリにもあるぐらいだが、 当時は「スゴい機能」だった。 カセットテープを入れて、赤い録音ボタンを押せば、 自分たちの声だって、テレビの音だって録音できるのだから。 まだ子どもだった私たちにとっては 最高級のおもちゃが我が家にやってきた感があった。 夜8時ぐらいだったか、 そそくさと晩ご飯を終え、 妹とふたり、ステレオの前に陣取り マイクでいろんな音を録音して遊んでいた。 カセットテープを巻き戻し、 何度も聞いては、また録音してを繰り返し、 私たちは夢中になって遊んでいた。 その日は母がゆでてくれていたトウモロコシが テーブルの上にあったと記憶している。 私たち姉妹はテレビとその近くに置いたステレオを行ったり来たり。 回りのガサゴソ動く音も録音されていたので、 もっときれいに音を録音しようってことになった。 そこで私がテレビの真ん前に陣取って、 マイクをテレビ画面にくっつけてじーっとしていた。 息を合わせ、妹がステレオの前…

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