のぶ子、ひとりほくそ笑む

のぶ子は短気だ。 なんでも自分の思い通りにならないとキレる。 キレるポイントが私らにはよく分からない。 どのスイッチで爆発するのかが。 私が小学高学年か中学1年生ぐらいの頃のこと。 ある夏の日、新製品がやたらに好きな父が、 ステレオを買ってきた。 黒くて大きくて、スピーカーも大きなやつ。 マイクを使えば、声が録音できる、 今でこそボイスレコーダーがスマホのアプリにもあるぐらいだが、 当時は「スゴい機能」だった。 カセットテープを入れて、赤い録音ボタンを押せば、 自分たちの声だって、テレビの音だって録音できるのだから。 まだ子どもだった私たちにとっては 最高級のおもちゃが我が家にやってきた感があった。 夜8時ぐらいだったか、 そそくさと晩ご飯を終え、 妹とふたり、ステレオの前に陣取り マイクでいろんな音を録音して遊んでいた。 カセットテープを巻き戻し、 何度も聞いては、また録音してを繰り返し、 私たちは夢中になって遊んでいた。 その日は母がゆでてくれていたトウモロコシが テーブルの上にあったと記憶している。 私たち姉妹はテレビとその近くに置いたステレオを行ったり来たり。 回りのガサゴソ動く音も録音されていたので、 もっときれいに音を録音しようってことになった。 そこで私がテレビの真ん前に陣取って、 マイクをテレビ画面にくっつけてじーっとしていた。 息を合わせ、妹がステレオの前…

続きを読む

のぶ子、スーパーミントにあわてる

のぶ子は、おもしろい。 本人はおもしろいことをしようと思っていないけど、 おもしろいことになることがよくある。 「おもしろい」ことを指摘したらキレて怒り出す。 子どもの頃はそのツボがよく分からずに なんど叩かれたことか。 大人になった今は、流す。コレが一番。 さて、そんなに子どもの頃じゃなかったことでそのときの映像があれば 何度でも見れるんじゃないかと思うような出来事について話をしよう。 どんなシチュエーションだったか明確には覚えていないが、 あれは車の中で起ったような。 のぶ子がスーパーで買った、ミント系のちっちゃい粒が入った「お菓子」は のぶ子にとっては物珍しいものだったようで、 小さなケースに入ったそれを自慢げに見せてきた。 意外とミントが好みなのか?なんて思いながら私は、 「ふ~ん」と聞き流していた。 のぶ子はうれしそうにあげようかと言うけど、 私も持っていたから たぶん「いらんよ」と答えたと思う。 エチケットに必要だと大抵カバンの中に忍ばせていたから、 私にとっては物珍しいものではなかった。 その後のぶ子はまたうれしそうにケースを振りながら、 手のひらにミントの粒を出した。 ちなみに、ちっちゃい粒でも結構スーッとするので、 口に入れるとしても、お菓子じゃないからせいぜい2個ぐらいまでだろう。 のぶ子の手のひらには おそらく5粒ぐらいは出たんじゃないだろうか。 調子…

続きを読む

のぶ子、背中で語る

土曜日日曜日と、病院に行ってきた。 母の主治医から現在の病状と 治療方針について説明があるとのことだったので、 土曜日から実家に帰っていた。 土曜日は朝早くから家族全員が病室に勢揃い。 のぶ子は相変わらずマイペースで、 ウトウトしたり、痛い痛いと大騒ぎしたりだった。 痛み止めは飲んでいたらしいが、 お尻のところがかなり痛かったみたいだ。 薬がなかなか効いてこなかったらしい。 ベッドの上にいると痛いからと、立ち上がって車椅子に乗りたいと言う始末。 絶対ベッドの方がやわらかくて痛みはましだろうに。 だれもがそう言っても、車椅子がいいと言い張るので、 看護師さんに手を貸してもらって座った。 座ってすぐ、 「やっぱり痛いわ」と言って、ベッドに戻っていった。 車椅子で連れて行かれた医師との面談時、 急にごそごそ慌てたように足を動かしはじめた。 何をしてるんだろうか?と横目で見てたら おもむろに立ち上がった。 ??? みんなの視線が一斉にのぶ子に集まった。 痛くてたまらなかったらしい。 座っては立ち、また座っては立つ。 お尻をさすってくれる看護師さんに、おなら爆弾を放つ。 (アカン、アカン。かわいそすぎ。空気読もうよ) 私は息を止めながら、心の声をもれ出してしまいそうになった。 ふと立ち上がって、 看護師さんが分厚いクッションを持ってきてくれた。 (グッジョブ、よく逃げた!) の…

続きを読む