のぶ子、ミシンをゲップする
のぶ子は若い頃、内職をしていた。
フェルトのサンタクロースが家の中にあふれてたのを覚えている。
フェルトといっても、手芸屋さんで売ってる
厚みのある生地のことではない。
クリスマスシーズンになるとよくスーパーも売ってるサ
ンタのお菓子袋みたいな生地といえば分かりやすいだろうか。
金色の山道テープ(波波のかたちのリボンみたいなもの)を
生地の縁取りにミシンで縫い付けてたのか、
ボンドで止めていたのか覚えていないけど、
キラキラしてて可愛いなと思ってた。
当時のミシンと言えば、
足踏みミシン。
みぎひだりと足を踏みふみしながらミシンを動かしてた。
私はまだ2歳ぐらいの時かな。
ほとんど覚えていないけれど、
サンタの赤い帽子だけはよく覚えている。
さて、のぶ子は意外と裁縫ができた。
今では針に糸を通すことは大変になったけど、
まだ若かりし頃のことだからね。
私たちが小学生に上がって、カバンとかぞうきんとかを縫うのに必要になったら
のぶ子が作ってくれた。
いや、カバンはどうだっただろう?
スカートとか夏用のワンピースとかは作ってくれたかな。
簡単まっすぐ縫いのやつ。
でも、子どもの頃はのぶ子作のワンピースをよく着てた。
ゴムがきつすぎて、胸とお腹にゴムの跡がついたけど。
その頃かな、ジャノメのミシンをゲップで買ったのは。
ゲップ=月賦のこと。
つまり、何回払いか月々で支払うってこ…